崩れ去った日常
私が夫の不倫に気づいたのは、娘が通う保育園の送迎時間が変わった日からでした。世田谷区で小学校教師として働く私、山下理沙(仮名・32歳)の平穏な日常は、ある日突然崩れ去りました。
「最近、パパがお迎えに来てくれるって喜んでいるね」と保育士さんから言われたことです。
私の中で何かが引っかかりました。夫は自営業で比較的自由な時間があるとはいえ、これまで保育園の送迎を買って出ることはほとんどなかったのですが、最近は頻繁に保育園に迎えに行ってくれるようになりました。
最初は、ありがたい思いでしたが、たまに私が迎えに行くと…
「なつきちゃんのパパ、最近よく来てますよね。優しいパパで羨ましいです」
保育士さんにそう言われた日、私は何気なく「そうですね」と答えましたが、心の中ではとても違和感を感じました。
違和感の正体
夫の変化は送迎だけではありませんでした。以前は家に帰るとすぐにテレビをつけてソファに寝そべっていた夫が、最近はスマホを手放さなくなりました。トイレにも持っていき、お風呂にも持ち込むようになったのです。
特に気になったのは、夫のスマホの扱い方でした。
- 常にパスコードをかけるようになった
- 私の前ではLINEを開かなくなった
- 夜中にスマホの通知音で起きることが増えた
- 「仕事の連絡」と言いながら笑顔でメッセージを打つ姿
ある日、夫がシャワーを浴びている間に、リビングに置き忘れたスマホの画面が明るくなりました。通知が入ったのです。思わず画面を覗き込むと、「明日も会えるの楽しみ♡」というメッセージ。送信者の名前は「ほのか先生」となっていました。
その瞬間、私の胸に走った痛みは今でも忘れられません。
決定的な証拠
「ほのか先生」–その名前は娘の担任のあの保育士でした。若くて明るい性格の彼女は、保護者からの評判も良く、私も何度か世間話をしたことがあります。まさか彼女と夫が…そんな考えは頭から振り払いたかったのですが、疑いは日に日に大きくなっていきました。
決定的だったのは、ある土曜日の朝のことです。夫がスマホのロックを解除する瞬間を、私は偶然見てしまいました。「1225」-クリスマスの日付でした。夫が寝ている間に、恐る恐るそのパスコードを入力すると、画面が開きました。
そこには、私の予想通り、娘の保育園の先生とのやり取りがありました。LINEの履歴を見れば見るほど、二人の関係が単なる保護者と保育士の関係ではないことは明らかでした。
夫「今日も可愛かったよ。君のその笑顔、俺だけに見せてほしい」
ほのか「もう、園では気をつけてって言ったじゃない(笑)でも嬉しい♡」
夫「週末、また会える?妻は実家に帰るから」
ほのか「うん、待ってる♡」
私は震える手でスクリーンショットを撮りました。証拠を押さえなければ、後で「気のせいだ」と言われるのが怖かったのです。
探偵への依頼:プロの目で真実を追う
証拠を見つけた私は、すぐに行動に出ました。しかし、LINEのやり取りだけでは「ただの冗談」と言い逃れされる可能性もあります。決定的な証拠が必要だと思い、探偵事務所を探しました。
トラストハンターさんのサイトから無料相談を申し込みました。翌日、探偵の方と面談し、状況を説明しました。
「山下さん、お気持ちお察しします。特に子どもの保育園の先生となると、複雑なお気持ちでしょう」
探偵の方の言葉に、私は堰を切ったように泣き崩れました。これまで誰にも相談できずに抱え込んでいた感情が一気に溢れ出たのです。
調査は週末から始まりました。私が実家に帰るという設定にしました。やはり夫は外出し探偵が尾行を開始。その日のうちに、夫とほのか先生が都内のホテルに入る決定的な証拠写真が撮影されました。
探偵からの報告書には、二人が手をつないで歩く姿、ホテルのロビーで抱き合う姿、そして部屋に入るまでの一部始終が記録されていました。
真実との対峙
数日後、証拠の報告書を手に入れた私は、夫が帰宅するのを待ちました。夜11時、玄関のドアが開く音がしました。
「おかえり。遅かったね」と、いつもと変わらない声で私は言いました。
「ああ、仕事が長引いて…」と夫は言いながらリビングに入ってきました。
私はテーブルの上に置いた探偵からの報告書と写真を指さしました。「これは何?説明してくれる?」
夫の顔から血の気が引いていくのが分かりました。言い訳をする余地はありませんでした。
「…ごめん」
5年間の結婚生活で築いてきたものが、一瞬で崩れ去りました。
保育園への対応:娘を守るために
不倫相手が娘の保育士だという事実は、私にとって二重の裏切りでした。娘のことを考えると、このまま同じ保育園に通わせることはできないと思いました。
翌日、保育園の園長先生に事情を説明し、転園の相談をしました。園長先生は事態の深刻さを理解し、すぐに対応してくれました。
「このようなことが起きて本当に申し訳ありません。保育士としての倫理観に欠ける行為です。厳正に対処します」
結果として、ほのか先生は保育園を退職することになりました。私は娘を別の保育園に転園させることにしました。
離婚と慰謝料:新たな人生への一歩
弁護士との相談の結果、私は離婚を決意しました。不倫の証拠が明確だったため、調停はスムーズに進みました。
慰謝料については、以下のような結果となりました:
- 夫からの慰謝料:300万円
- ほのか先生からの慰謝料:150万円
- 養育費:月額8万円
- 財産分与:貯金の半分(約200万円)
金銭的な問題よりも辛かったのは、娘に対する説明でした。まだ4歳の娘に、なぜパパと別れて暮らすことになったのかを説明するのは本当に難しかったです。
「パパとママは、大人の事情でしばらく別々に暮らすことになったんだよ。でも、パパもママも、あなたのことは大好きだからね」
そう伝えながら、私自身も涙をこらえるのに必死でした。
新たな日常:傷を癒しながら
離婚から半年が経ちました。今では娘と二人で新しいアパートで暮らしています。小学校教師の仕事は続けていますが、職場の理解もあり、娘との時間をしっかり確保できるようになりました。
夫とは養育費や面会の件でのみ連絡を取り、それ以外の交流はありません。ほのか先生とは二度と会っていません。彼女は別の市の保育園に就職したと聞いています。
この経験から学んだこと
- 違和感を感じたら、自分の直感を信じること
- 証拠集めは冷静に、できればプロに任せること
- 子どもの心のケアを最優先すること
- 自分を責めすぎないこと
最後に:同じ境遇の方へ伝えられること
この体験談を読んでいるあなたが、もし同じような状況にあるなら、一人で抱え込まないでほしいと思います。私も最初は「家庭を壊したくない」「娘のために我慢すべき」と考えていました。
しかし、不誠実な関係の上に築かれた家庭は、いつか必ず崩れます。そして、その崩れ方が大きければ大きいほど、子どもへの影響も大きくなります。
今、私と娘は新しい生活を少しずつ楽しめるようになってきました。傷は完全には癒えていませんが、前を向いて歩いています。
「ママ、新しい保育園、お友達いっぱいできたよ!」
娘のそんな笑顔を見るたびに、勇気を出して一歩を踏み出して良かったと思います。
どんなに辛い状況でも、必ず光は見えてきます。ただ、その光を見つけるためには、時に専門家の力を借りることも大切です。私の場合は、探偵と弁護士の存在が大きな支えとなりました。
あなたの選択が、あなたと大切な人の幸せにつながりますように。